修羅と荊の道を行け

マツリは実家の飼い犬だ。６年前に近所の祭の日に拾ったからマツリと名前がついた。マツリという名前だが、雄だ。

｢最近、体力落ちたからって、散歩の距離を長くしてるの。もうそろそろ帰ってくるはず｣

まるで見ていたかの様に、廊下から足音が聞こえて来た。カチャカチャと爪の音がして、ガチャっとドアノブが回った。

マツリがオレの顔を見た途端、飛び掛かって来た。

顔をベロベロなめられる。まるで数週間も離れていたかのようだ。

雑種だが、マツリは大人しいため家の中で飼っている。

｢この間、会ったばっかりだろが｣

｢マツリは千尋が好きだからね｣