修羅と荊の道を行け
息子の彼女として会えるとは思えなかったと、親父にしては珍しいジョークも出てきた。

表情の乏しい親父だが、咲耶のことが気に入ったってことはわかった。

「所で、君は武道の心得があると見受けるが」

突然、武士のようなことを言いだした。

「手を見るとわかる」

「えっと、10歳までは剣道、柔道、弓道、空手などやってましたけど、今は仕事の合間に少しだけ」

社内にいる格闘技好きの人間が集まり、サークルの様なモノを作り、咲耶もそこに入っているらしい。

「女性社員に護身術を教えているぐらいです」

どうしてもセクハラをしてくる男はいるらしく、されたらその場でぶん投げて、その場で終わらせろ、無駄に訴訟だの何だのを作るなと、社長の訓示が出たそうだ。

「それは素晴らしい。女性も自分の身は自分で守らなくては」
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