修羅と荊の道を行け
ジャージの長袖を咲耶に持ってきて渡すと、それを着た咲耶は袖が余ってぶかぶかで可愛い。

「時間制限なし。一本勝負だ」

「はい」

なんか咲耶さんの目つきが変わった? 鋭いっていうか、相手の隙を探しているっていうか。

次の瞬間、親父と咲耶ががっぷり組み合った。

国際大会とかと違って、最初っからガッチリ組んで相手の出方を伺ったり、態勢を崩そうとしている。


「おうおう、あの親父に揺さ振られて態勢崩さないって、あの女相変わらず、恐ろしいな」

万里兄貴がボソリと呟いた。

「ゲームの外でも強いって言ってたけど、本当だったんだな」

十弥兄貴は逆に感嘆の声を出した。

どちらからの口からもでたのは、
「「お前の彼女すげぇな」」

だった。

本当、すげぇよ。現職警官、警察署対抗の試合で常に大将を任されている、別名『熊殺し』を投げ飛ばそうしてんだから。
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