修羅と荊の道を行け
親父は見た目は身長はそれなりにあるが、太さはそれほどない。鍛えてはあるが、服を着れば目立たない。

私服の時は無表情のおっさんだ。

先に仕掛けたのは、親父だ。咲耶の一瞬出来た隙をついて、大外刈を仕掛けた。


オレは見逃さなかった。技をかけられる直前、咲耶さんが笑ったんだ。

ニッと、男前に。

その後、親父の大外刈を交わして、そのまま親父を投げた。

一堂、ア然とした。


万里兄貴が「一本!」と言った所で、全員が正気に戻った。

「は!ゴメンなさい」

五百蔵咲耶という人は、闘いの最中に意識が飛ぶというか、別の人格になるというか、なんというか、侍だ。

普段は控えめながら、戦となると勇ましく先頭を切って戦う勇猛さ。

侍と言わずなんというんだ。
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