修羅と荊の道を行け
マツリちゃんはそんな浪川くんの視線を気にすることなく、眠っていた。

モフモフのマツリちゃんのしっぽの付け根をこちょこちょすると、小さくしっぽが揺れた。




お夕飯の片付けを終わってみんなでテレビを見た。


マツリちゃんはその後から、ずっと私にくっついて眠っていた。

隣にいる浪川くんがたまに私を自分の方に引っ張って、マツリちゃんから離れると、マツリちゃんは直ぐにまた側に寄ってきた。

何回か同じことを繰り返していると、マツリちゃんはついに、身体ごと、私の上に乗ってきた。

「そう来たか!外に締め出してやろうか!」

「バカなこと言ってないで、お風呂に入りなさい!」

お母さんが浪川くんの頭をゴンと叩いた。

「いてえっ!ガキじぇねえんだから叩くなって」

「子どもの頃の方が、聞き分けが良かった!全く、そんな了見の狭さじゃ咲耶ちゃんに捨てられるよ」

「くっ!捨てさせねぇよ」

と言って、浪川くんはお風呂に行ってしまった。

捨てませんよ。てか、こっちが捨てられないか、毎回ヒヤヒヤしてます。なぜなら、こっちは胸なし、色気なし、床経験なし、ないないばっかできりのない女なんですから。
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