修羅と荊の道を行け
「咲耶」

名前を呼ばれて、ギュッと抱きしめてくれた。

こうされると安心する。

「好きだ」

「うん」  

自然な感じに見つめ合って、顔が近づいてキスします、っなろうって時に

「おーい、オレの部屋でおっぱじめるってやめてくれよ。しかも振られた直後って、拷問じゃねぇか」

万里くんに見られた!浪川君から離れようとするけど腰をガッチリ捕まれて動けません。

「浪川くん!おにいさんが見てるよ」

「見せてんだよ。何か用か?」

「ケータイ忘れた」

万里くんはテーブルの上のケータイを取っこっちに見せた。

「マジな話し、俺の部屋なんだから、程々にしてくれよ」

「はいはい、さっさといけ」

「兄貴に命令すんなクソガキ」

万里くんがゴッキンと浪川くんの頭を殴って部屋から出ていった。

「負け犬の遠吠えにしか見えねーっての」

頭をさすりながら浪川くんは、勝ち誇った顔をした。

「えっと、そろそろ寝ましょうか?」

「そうだな」

身体を離してくれて、一緒にお布団に入りました。手はずっと繋いでてくれるのはすごく嬉しかった。

「おやすみなさい」

「おやすみ」

軽くキスをしてから目を閉じた。

朝はすっきりと目を覚まして、浪川くんのお母さんのご飯をいただいた。美味しかった。

蓮聖くんが背中に張り付いて、離れようとはしなかったので、浪川くんがずっと怒っていた。

そして、それを万里くんたちがからかっていた。

良いな。うちは、お客さんがいない限り朝はあまり会話がない。おばちゃんの家では会話があるから、会話のない食卓は落ち着かない。

「じゃあ、送ってくる」

「気をつけてね。咲耶ちゃん、また来てね」

「はい。突然お邪魔したのに美味しいご飯御馳走様でした」

浪川くんのお母さんが見送ってくれた。



浪川くんの車で会社に向かう。

「さわがしい家で悪かったな」

「そんなことないよ。楽しかった。まさか同級生に会うとは思わなかったけど 」

それが一番、ビックリした。

「そうですね。先輩」
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