修羅と荊の道を行け
暖かい雰囲気で食事が始まった。

賑やかな会話と美味しい料理、楽しかった。

食事が終わった後、咲耶の部屋に通された。

「お茶どうぞ」

「サンキュー。で、咲耶さんどうしてこうなったんだ」

お茶を持ってきてくれた咲耶はオレの膝の上に座るとオレにゲーム機を渡すと、首にギュッとしがみついてきた。

「送られてきたんだけど、もう怖くてさ。だから一緒にできる日を待ってたんだよ」

このゲームはゲーム機についているカメラ機能を利用して進めるゲームで、ストーリーは呪われたカメラを手にした主人公が呪いを解くために、カメラを使いながら謎を解いていくというゲームだ。ゲームの指示に従ってカメラで指定された色を撮影していく、時間指定などもありミスをすれば、写した箇所のどこかにこちらに迫ってくる悪霊が写って、悪霊が画面全部に映し出されればゲームオーバーというホラーゲームだ。

「怖い怖い。もうこの部屋で眠れなくなりそうだよ」

「だったらこんなのもらうなよ」

「でも、ストーリーが良いんだって悲哀に満ちてて、だからどうしてもクリアーしたいの」

だから、頑張って。と首にさらにしがみつかれた。

車で来たのに、酒も飲んでしまった。泊まりは決定だった。お父さんにも泊まって行けと言われた。

けど、この状況は結構拷問に近い。久々に会えた恋人にしがみつかれて、理性がどうにかなってしまいそうだった。

「うおっ、ミスった!」

「ギャッ、近づいてきてる」

オレもゲームに夢中になってきてしまった。これはなかなか難しいぞ。

そして、怖い。カメラで撮影した箇所を思わず見てしまう。もちろんいるわけはない。

「お姉ちゃん!」

ゲームを始めてから二時間がたった頃、突然ドアが開いた!

美世花ちゃんが飛び込んできた。

「何よ!こっちは忙しいの!」

「彼氏にしがみついてゲームしてる場合じゃないの!マオちゃんとお父さんがケンカして大変なの!二人を止めれるのはお姉ちゃんだけなの。千尋君も来て」

泣きそうな美世花ちゃんに気圧されて、オレたちは応接室に向かった。扉を開けると、お義父さんが真央花ちゃんの胸座をつかんで手を振り下ろそうとしていた。お義母さんが真央花ちゃんを庇うように間に入っていた。

「一体どうしたの。ちょっと待って、一回落ち着こう」

咲耶も間に入ろうとしたが、お義父さんが

「お前は黙ってろと」と咲耶に胸元を押してしまった。あ、ヤバいんじゃないかと思った次の瞬間。

咲耶が悲鳴を上げて、お義父さんに掌底を食らわせてお義父さんが吹っ飛んだ。

「あ!やっちゃった」

正気に戻った咲耶が所謂、テヘペロの仕草をして、ごまかした。咲耶がやると可愛いな。
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