修羅と荊の道を行け
「さ、浪川くんはこれ被ってこっち」

中折れ帽を目深に被らされたオレが座らせられたのははカウンターの後ろの席だ。

「何で?」

「良いから座って」

示されたのは席でビールとおでんを口に入れながら、件の姪がくるのを待つと予想外の人物が現れた。

「おばちゃん、何?突然?」

「いらっしゃい、咲。さあ座って、今日は貸し切りよ」

入って来たのは咲耶だった。

「白倉さんと氷樹ちゃんも何でここに」

「私が呼んだのよ。あんたにお説教してもらおうと思ってね」

「悪いことしてないです」

「してる。さぁ座りなさい」

咲耶が座った音が聞こえた。
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