修羅と荊の道を行け
「好きだからこそ身を引いたの。うちの親父に浪川くんの人生をめちゃくちゃにされたくない」

「大丈夫だよ。そんなことになりそうならおばちゃんに言えば良いの」

「おばちゃんの言うことを聞くとは思えない」

「父親なんて愛し合う二人に関係ないだろ。相手こと好きなんだろ?」

オレは我慢できなくて立ち上がろうとすると、女将が無言の視線を送ってくる。立つなと。

「好きですよ。浪川くんのこと大好きだもの」

何て言った?大好き?

オレを好きだと咲耶が言った。

もう我慢出来なかった。

「咲耶!」

オレは席を立った。

目の前で顔を真っ赤にした咲耶と目が合った。

大きな目が更に大きくなってオレを見ている。

「浪川くん…」
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