修羅と荊の道を行け
手を引かれて建物の陰に入ると、グッと腰を抱かれた。

背中にも腕が回って強く抱きしめられた。

浪川くんの匂いは薄いタバコの匂いがした。

肺から空気が追い出されるくらい抱きしめられた後に食べられそうな勢いでキスをされた。

呼吸もやっとで、浪川くんの顔が離れた時は

「エロい顔」

肩で息をしていると、浪川くんがそう言って、唇を親指で拭いてくれた。

「行こう」

手を繋いで、向かったのは浪川くんの家だった。

「これやる」

小さい鈴の付いた鍵。

「オレの家の鍵だ」
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