修羅と荊の道を行け

咲耶のメールを繰り返し読んでいる早朝(咲耶のメールだけは、別のフォルダーに入れてます)


千鳥が腕に包帯を巻いて出社してきた。

みんながどうしたと聞くが千鳥は転んだと答えるだけだった。


オレも心配になって声をかけた。

｢大丈夫か？転んだってどこで？｣

一瞬、顔を曇らせた千鳥はオレに資料室に来るようにと小声で囁いた。

二人きりになった資料室で千鳥はオレに信じられないことを言って来た。

｢本当は転んだんじゃないの。昨日、浪川の彼女に会いに行ったの｣

｢何で？｣

｢浪川をもっと大事にして欲しいって。お願いしたくて｣

千鳥の大きな目が涙で潤んでいる。

｢浪川に聞いてたお店に行ったら、彼女がいた。そしてお願いしたら、関係ないって怒鳴られてグラスを投げられた｣

まさか！

｢咲耶はそんなことする女じゃない｣

｢真実よ｣