修羅と荊の道を行け
｢後輩ちゃんなんだ…それだけには見えなかったよね｣

｢うん。ベタ惚れってやつだね｣

クスクスと二人は千鳥を笑った。

それが癪に触る。

｢浪川！｣

千鳥が追って入って来た。

｢ふざけんな！人に怪我させておいて笑ってんな！｣

｢話しが見えないから笑ってんの｣

咲耶は乱暴に髪をかきあげた。

｢どうして私が見ず知らずの人に恋愛についてどうこう言われて手を挙げるの？｣

｢千鳥は嘘は言わない｣

｢私は嘘をつくって言ってるの？｣
そうは言わない。

｢まぁ、実際その子に怒ったよ。グラスも投げつけたかったくらいに｣

やっぱり！

｢このバカヤロー！｣

咲耶をひっぱたいた。

パンと渇いた音が響いたと思ったら、左の脇腹にゴスという衝撃が走って、鈍い痛みが全身を駆け巡った。

片膝を着いた時、左肩に更に強い痛みが襲った。

何が起こったかわからなかった。
< 86 / 432 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop