修羅と荊の道を行け
これが、直前の全てだ。

オレはどこで間違いを犯したのだろうか?

「馬鹿ねぇ。さっちゃんを本気で怒らせたら怖いんだから」

漫画家先生がすぐに一階に降りて来た。

うずくまるオレに、漫画家先生は、見事な内角をえぐる様なパンチと綺麗な踵落としを決められたと教えてくれた。

そして

「五百蔵咲耶は受けたモノを倍にして返すのが信条よ。恩も攻撃も。それが彼氏に対しても有効で良かったわ」

漫画家先生は千鳥にオレを担いでここから出るように指示した。

彼女の車で、近くのホテルに三人で入った。

鈍い痛みを感じながらオレはベッドで横になった。

千鳥はオレの心配をしてくれるけど、オレは漫画家先生が気になった。

「この子は本当にあなたが好きなのね。可愛い」

漫画家先生は備品の紅茶を飲みながら千鳥を見て微笑んだ。
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