修羅と荊の道を行け
「けど、好き過ぎなのか?」

彼女の目は千鳥を射抜く様な鋭い視線を放っている。

「いえ、幼い恋ね」

「やめて…」

千鳥が小さく声を漏らした。

「だから幸せを願えない」

「やめて下さい」

「自分であって欲しいと駄々をこねる」

「やめて!」

「あなたは咲耶に主張したかった。彼を好きなのは自分の方だって」

「ごめんなさい」

「どんなことをしても、咲耶にあなたは敵わない。彼はあなたを女として見ない、決して」

まるで魔法を唱えているかのように囁く彼女の言葉に千鳥は何度も謝って泣き崩れた。

「嘘をついてるのはあなたよ。千鳥さん」

あぁ。漫画家先生は怒ってる。オレと千鳥に。

「咲耶はあなたにグラスは投げていない。自作自演の傷に私は同情しない」
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