修羅と荊の道を行け

戸が閉まると同時に身体の力が抜けた。

｢帰るぞ…｣

｢うん…｣

千鳥を伴って部屋を出た。

時間とすれば一時間は経ってないのに、どうしてこんなに、疲れているのだろうか？

と言うか、オレは咲耶とお別れしなくてはならないのだろうか？

そっちの方が気掛かりだ。

咲耶にさよならと言われた想像をするだけで涙が出て来そうになる。

｢浪川…｣

千鳥が話しかけてきた。

｢何？｣

振り向かずに返事を返した。

｢ごめんなさい。私、こんなつもりじゃなくて｣

｢もういいよ。後はオレたちの問題だ｣

｢ただ私、浪川のことをもっと大事にして欲しくて｣

｢分かってるよ。だからもうオレに関わるのやめろ｣

はっきり言わないとわからないのかもしれない。

｢これ以上、オレの側にいてもお前は傷つくだけだ。オレは彼女が好きだし。オレも彼女のことを何も知らない、一緒にいた時間じゃないんだよ。これは…｣