修羅と荊の道を行け
昨日の夜のことは覚えている。

3人で飲んでいる所に彼女が来て、

「五百蔵咲耶さんですか?」

って声をかけられた。

「そうです。あなたは?」

ファーストインプレッションは可愛い子だって思った。

「あの突然なんですが、浪川千尋と別れてくれませんか?」

ストレート、直球でそう言われて何を言っているか分からなかった。

「あなた、名乗りもしないで何を言ってるの?」

氷樹ちゃんが彼女に言ってくれた。

「私は千鳥と言います。お願いです浪川と別れてあげて下さい。浪川は今、大事な時なんです」

その他にも色々言っているけど、話しが頭に入って来なかった。

分かるのは、彼女が浪川くんが大好きだということ。

私は何も言わず黙ってそれを聞いていた。

「あの。どうか分かって欲しいんです」

「分かったけど。それをどうしてあなたが言うの?」

率直な疑問がそれだった。

「別れたいなら浪川くんが言うでしょ。どうしてあなたが言うの?頼まれたわけでもない。何の権利があるんですか?」
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