SKY
教室には、すでに多くのクラスメートがいた。未来ちゃんが自分の席に着くと、あたしはまた、一人ぼっちになってしまった。

男子はわいわいとみんなで騒いでいる。どうしてあんなにすぐ仲良くなれるのかなあ。
男子がうらやましい・・・


「優衣ちゃん。」


目の前に、未来ちゃんがいた。


「未来ちゃん。」

「これから仲良くしようね。」

「うんっ」


未来ちゃんはにっこり笑った。それだけの会話が、私にとってはうれしくて仕方なかった。


それから数日が過ぎた。私と未来ちゃんはすっかり仲良くなって、私は未来ちゃんのことを“みく”と呼ぶようになっていた。
授業もいよいよ本格的に始まった。
あたしが“それ”をはっきりと感じたのは、数学の時間だった。発表の時、手を挙げた私と、ばっちりと目があった“その人”。 


(まただ!!この人、最近目が合いっぱなし・・・!!)


彼は私と目が合うと、にこっと笑った。その笑顔がまぶしくて、私は思わずうつむいた。


(この人、もしかして私のこと・・・)


その瞬間、私は彼に恋をしていた。彼の名は蓮見幸久。中学に入って初めての恋は、甘酸っぱいような、不思議な恋だった。
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