ひとかたおもい
その日、アタシは
3番目位に走りおわって、
その場にへたりこんでいた。
「はぁっ、はぁ‥」
アタシは荒々しい呼吸を整えていた。
「あれ、野球部やんなぁ、」
「はぁっ…へぇっ?」
野球部?
ジャージ姿の数人の男子がアタシの前を通っていった。
その時、アタシは思った。
もしや
広上もいるっ?!
アタシはわくわくしながらさっき野球部が来た方向を見つめた。
きっ、
きたぁー!
「はぁっ…はぁっ♪」
「どうしたの仁香、笑ってんの?興奮してんの?イタイよー(汗)」
…イタくて悪かったね。
アタシは仲間のメグの言葉を聞き流して、広上を見つめた。
好きだよ。
大好きだよ。
でもアタシ、まだあなたをよく知らない。
知りたいよ…
タッタッタタッ
「ナイスファイトー」
バレー部員全員が走りおわったみたいだ。
「ねぇ、まだ座ってちゃ駄目?」
あと1周分だけでいいから、走ってくる広上を見たいと思った。
「バカか仁香。そうやって先輩に怒られれば!みんな、行くで!」
放置っすか。