LOVERS -Girls Side-
のろのろと自分の席に着き、バコッと派手な音と一緒に痛みが後頭部に突然走る。
「いったぁーーーーい!!」
痛みを掌で抑えるようにして、思いっきり振り返った。
この痛みの正体の元凶は―――確認しなくても分かってる。
「っんだよ!! 翔平!!」
「おうっ、ひとみ」
顔を顰めている私とは違って、満面の笑みの翔平が案の定立っていた。
「おうっ…じゃないでしょーが! 馬鹿になったらどうしてくれんのよ」
「お前、元々バカじゃん」
「あんたにだけは、言われたくないんですけど」
「はぁ!? んだよ! 馬鹿、ひとみっ。俺よりお前の方が馬鹿じゃねーか!!」
「馬鹿っつー方が馬鹿でしょ! この間の山やんの抜き打ちテスト何点だったわけ!?」
「俺!? 聞いて驚くなよ?」
急に翔平は胸を張って誇らしげに言い放つ。
「10点!! すげーだろっ、今までの最高記録だ」
………。
「ぶふっ」
思わず出てしまった声を口元に手の平で抑え、顰めていた顔を緩め翔平を見遣った。
「んだよ、その気味悪い笑い声と顔は」
「なぁ~んだ、そんな点数で自慢げに普通言う?」
「あー!? じゃあ、お前は何点だったんだよ!」
「聞いたら、あんた落ち込むよ、絶対っ」
「いーや、それはぜってーねーな。そんな勝ち誇った顔してても、いつもの1点とか2点とかそんなもんだろ」
「ふ、ふ、ふ。あんたこそ、聞いて驚きのあまりこけないでよ」