LOVERS -Girls Side-
「あんたのデコピン想像以上に痛いんだつーの!! お・ん・な・の・こには、優しくしなさいよね!!」
「はぁー!? お・ん・な・の・こ、なぁんて、どっこにいんのかぁっと」
「あんたの目ん玉は節穴か!? ここにいるでしょうーが! こ・こ・にっ」
顔を見合わせ眉間に皺を寄せて、犬が威嚇で喉を鳴らすように互いに唸り合う。
「お前、女らしいことしたことあんのかよ」
「そっそっそっ…あるに決まってんじゃんっ」
「料理も掃除もろくにしたことねーくせに。よっく言うぜ」
「はい!? あんたが、何でそんな事分かんのさ!!」
「お前が唯一出来んのって"おにぎり"ぐらいじゃんかよ。あっでも、三角に出来なくて、得体の知れねぇの作ったことあったな、そーいえば」
「"おにぎり"だって立派な一種の料理じゃん!! あーあ、話すり変えちゃってさ~。私に負けた事そ~んなに悔しいんだ~?」
「くっ悔しくなんかねー!!」
「顔に悔しいって書いてあるの丸分かり~! おーほっほっほっ」
「くっそー…こいつ、すっげームカつく…」
腰に手を当て豪快に笑っていると、下方から何やらくいくいと引っ張られる感覚が。
笑いを止めて下方を見遣ると、スカートの裾を掴むその手の主を辿ってみる。
そこには、眉を八の字にして上目遣いで私を見つめているのは―――。
「春香? どうしたの、そんな顔して」
「ひ…とみちゃん…」
「ん?」
春香の顔を首を傾げながら見たら、春香はゆっくりと指で示す。
何だろう―――っと春香の指を辿っていく先。