LOVERS -Girls Side-


 目の真ん前―――グレーの…スラ…ックス…?

 何だこりゃ?

 視線をゆっくりと上げて行く先―――白の…Yシャ…ツ…?

 うんと…何だか見覚えのある…ネクタイ?

 視線を上げ切った先には、待っていたのは―――。

「あっ」

「あっ」

 同時に、私と翔平の漏れた声が重なったと同時に、ガツッ―――っと頭のてっぺんに鈍い痛みが走った。

「ったーーーーーぃ!!」

「あだっ!!」

 再び、私の声と重なる翔平の声。
じんじんと伝わってくる痛みを両手で押さえると、更に痛みが増していくのは何故。

「いっ痛いじゃん! もっと生徒には優しくしなよ!! 暴力反対っ」

「まったくだぜ!! しかも硬いもんで殴る必要なくね!?」

 翔平と2人で訴える相手とは―――。

「これには俺の愛が詰まってんだ。だから、こんなにも固くて重い」

 私達を高い位置から見下ろすのは―――担任の高原敦、46歳。
通称、たかやん―――ちなみに独身、よろしく。

 この担任様は、かっっったい重い本を手に持ち、生徒の頭を殴っておいて、ははははっと愉快気に笑ってる。



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