LOVERS -Girls Side-


「いーーーっつも、その硬い部分で殴んないでっ。たかやんっ」

「お前等がチャイムにも気づかず、ぺちゃくちゃ、ぎゃーぎゃー、じゃれ合ってるのが悪いんだ」

「はぁー!? マジやめてくれよ。誰が誰とじゃれ合ってるんだよ!? 誰がっ」

「翔平が悪いんだから!! 私は何も悪くないもん」

「おまっ! 一番悪いのはお前だろーが!!」

 んなっ! 元はと言えばこいつが、私にちょっかいを出してさえ来なければ、こんなことになってないっつーのに!!

「いーやっ全体的にあんただね!! 私の点数に負けたからってすねんじゃねー!」

「あぁ!? 誰がんなことですねるかってーの!! 俺はお前みたいにガキじゃねーよ!」

「あんたにお似合いの言葉じゃないっ。中学までこ~んなチビだったくせに~」

 手を自分の胸の位置にまで持ってきて、中学の頃の翔平の身長を表す。
翔平を今も身長に伸び悩んでいるから、この事を言われるとキレることを知っている私は、いつもあえてこの話題を出す。

「ひとみーーー!!」

「んだよ、翔平!!」

「お前等ー!! いいかげんにしろーーーーー!!」




 さて、以上で分かってくれましたか?
 え? 何がって?
 私達の日常ですよ? いまいち、分かんないって?



 ………。



 うん、っとまぁ、こんな感じなんです!
こんな感じ、あはははっ。





 高校2年の春―――こうして、始まった新しい生活。
この時の私達は、想像もしてなかった。
私達にとって、とても大きな変化が起ころうとしていたこと。

 春の暖かさから、夏の蒸し暑さへと変わってゆく頃から―――。


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