LOVERS -Girls Side-
「はいっ…ひとみちゃん」
退屈そうに座ってるひとみちゃんの目の前に、ふいに手の平に乗せたものを差し出す。
それは―――。
「ぅえっ!? 春香、これどしたのーっ」
私が差し出した"モノ"に、驚きの声を上げるひとみちゃんの瞳はぱちくり瞬きをしている。
自分の手の平にひょっこりと乗る―――ぷっくりとしたお腹と桃に似た小さなお尻がトレードマークのお人形。
というより―――キーホルダー。
でも特徴的なのは、それだけじゃなく…。
「これ超ぉぉ可愛い!! うちらと同じ制服着てんじゃん!!」
ひとみちゃんが目を輝かせながら、私の手の平から受け取る。
今、ひとみちゃんに手渡したのは、市販で売っているお人形が身に纏っているのは、フェルトで作った私達と同じ制服。
「ってか、これって…誰かさんに似ておりませんか?」
「あ…うん…これ、実はひとみちゃんに似せて作ってあるの…」
何だか、急に恥ずかしくなって…顔が熱くなってきちゃった。
「うわーっすっごい! やっぱり、春香ってすごいんですけど!!」
俯く私とは反対に、いつも元気なひとみちゃんの大きな明るい声が聞こえてきて、ますます恥ずかしさが増して顔がなかなか上げられない。
「だっ誰でも出来る…よ…? これくらい…だから、そんなに大きな声…で―――」
「いやいやっ髪型もそっくりだし。それに私みたいな不器用者にとっては、すんっごいって心の底から思うから」
「……あ…りがとう…へへっ」
「でもさ、急にどしたの? 私、誕生日…じゃないよ?」
キーホルダーの輪を指先に通して持ちながら、不思議そうに首を傾げ聞いてくるひとみちゃん。
すると、そこへ―――。
「私も、さっき貰ったわよ」