LOVERS -Girls Side-
背後から声がして、2人して見遣る。
振り返った先にいたのは、ひとみちゃんにあげた同じキーホルダーの輪っかを中指に通し、私達に手の平を広げ見せてる―――。
「景子ちゃん」
「あっ景子ももらったんだ~。景子のはちゃんと黒髪のロングになってる」
「そっ、さっき職員室行く前に貰ったの。よく出来てるわよね~、眼鏡もちゃんとつけてくれてさ」
景子ちゃんはお人形を顔の位置まで持ってきて、似てる?―――なんて言いながら、私達のところまで来て空いている席に座った。
「ホントだ! 眼鏡もちゃんと付けてんじゃん! 可愛い~」
「春香って、前からこういう細かいこと得意だよね。私はこんなこと出来ないから、羨ましいなぁ」
「春香!! その才能を私に全部ちょうだ~い」
満面の笑みで手の平を上にして、両手を私に差し出すひとみちゃん。
私がハハッと小さく笑い声を上げたら、すかさず景子ちゃんの声が切り込む。
「いや…きっとひとみには春香の才能を貰ったとしても、その性格じゃ宝の持ち腐れになるでしょ」
「宝の持ち腐れって何さ。景子だって、同じようなもんでしょーよ」
「なーに? 本当のことでしょ? 春香の才能もらったって、その飽き性な性格を先に直さないとぜーったいに無理だから」
「えー! 私だって…やれば出来る子なんだけどなぁ…」
「普通、自分でそんなこと言わないわ」
景子ちゃんがそう言うと、ひとみちゃんは身を乗り出して、出来る!―――っと頬を膨らませた。
だけど、景子ちゃんはひとみちゃんに、出来ない―――ってサラッと口にする。
そのやりとりが何回か続いた後、景子ちゃんがふいに私の方を見て微笑む。
「あっねぇ? 春香」
「…え?」
ん? っと少し首を傾げ、景子ちゃんの次の言葉を待つ。