LOVERS -Girls Side-
突然、響いたひとみちゃんの大きな声に、一瞬体がびくついてしまった。
「ちょっと、ひとみ。シッ」
「あい~…すんませ~ん。もう黙ってます…」
「春香、どうぞ、気にせず」
「う…うん…」
驚いた拍子に少し早くなった動悸を落ち着けようと、一度深呼吸。
それから、再び話の続きを話すべく口を開く。
「本当は、お母さんにドレス着せてあげられたら、一番いい…んだけど。今は…それがちょっと無理で…」
「春香の両親ってたしか…10代で結婚したんだったよね?」
「あっ…うん。お父さんが19歳で、お母さんが18歳の時に私を産んでその後、入籍したみたい…」
「春香のお母さん、いつみても若くて可愛いらしい人だよね」
「そ…それで…安っぽいかもしれないけど…記念に残るものって思って…」
少し目を左右に動かし、手の平をキュッと合わせた。
「お父さんとお母さんにもこういう感じで作ったの?」
ひとみちゃんがキーホルダーの輪っかを中指に通して、ゆらゆらっと揺らして私に見せる。
「あっううん。お父さん達のはタキシードとウェディングドレスを…着せようと思ってて…」
「へーっすごい。それ、見たい、見たいっ」
私の言葉のすぐ後に、ひとみちゃんがガタッと椅子の音をたてて立ち上がり、目を輝かせた。
その表情に、少し照れくさくて笑ってしまう。
「春香、見せて!」
「えー…っと、ごめんね。それが、まだ出来てないの…」
「そうなんだ…残念」
私がそう言うと、ひとみちゃんは本当に残念がっている様子で、椅子に力なく着席。
いつも、いつも、ひとみちゃんは喜怒哀楽が分かりやすい。
表情もコロコロ変わって…とても元気で、物おじしないその性格が、すごく羨ましくて眩しい。