LOVERS -Girls Side-
「ほら、春香も呆れてるじゃない」
「は…は~る~か~?」
「えっ…えっ!? そ…そんなことないよ? ひとみちゃん…」
「今度、カレーの作り方お~し~え~て~」
「へ?」
口をへの字にして、少し悔しそうに顔を歪めてるひとみちゃんの目は若干潤んでいるように見えて…。
本当…ひとみちゃんって、表情がコロコロ変わって―――。
「うん…いいよ? 今度、一緒に美味しい作ろうね…」
「春香は優しいね~。景子と違って」
「はぁ? 私だって、すっごく優しいじゃない」
「どーこが」
「全体的に優しいじゃない」
「ぜっんぜん!? 私に対してちーっとも、優しさが見えない」
「あんたに優しくしたら、もっとつけあがるのが目に見えてるから、私はあえてこうしてるのよ? 分かりなさいよ、それくらい」
「その冷静に返してくる姿が、余計にむかつく」
「はいはい」
「ってゆーか、だいたい景子ってさ!」
あーぁ、また始まっちゃった…。
でも、これが私達の日常で、とても賑やかな光景。
こんな賑やかさがないと、変だもん。
2人の掛け合いをにこやかに見つめていると…そこへ忍び寄る1つの影―――。