LOVERS -Girls Side-
ドスッ!!
まるで、こういう効果音が聞こえてきそうな光景が目の前で起こってしまい、顔の熱が一気に引いてゆく。
「あっ―――」
っと、つい出てしまった自分の声を抑えるように、指先が唇に触れた。
「なーに、3人で楽しそうに話して~んの? 俺も仲間に入れて下さい」
口角をグッと上げて、眩しいほどの笑顔と陽の光でキラキラと輝く金髪。
「…翔ちゃん」
「よっ、春香っち!」
私が声を掛けると、右手を上げて挨拶をしてくれる翔ちゃん。
それにつられるように、私はぎこちなく片手を上げた。
そうすると、翔ちゃんは満面の笑みを絶やさず、今度はくるりと私から景子ちゃんへと視線を移して、同じように声を掛ける。
でも景子ちゃんは―――。
「景子さ~ん、今日も天気がいいっすね」
「………」
翔ちゃんを無視して、別の方向を見ている景子ちゃん。
「今日も冷たい…」
そう言う、翔ちゃんの明るかった表情がすとんと無くなる。
何だかこの顔見ちゃうと…いつも切なくて可愛そうに思ってしまうのは、きっと捨てられた子犬のような目になるからなのかな…。
景子ちゃんは、そんな翔ちゃんの事なんてまったく興味なさそう…。
「ねぇねぇっ景子さん! 今日も良い天気っすね!」
「………」
「それで、今日一緒に放課後、どっか行きませんか!?」
「………」
「俺とデートしましょうよ」
「………」
「ん、じゃあ、最近出来た駅前の―――」
翔ちゃん…改めて私は思うよ?
めげない翔ちゃん…すごいと思います。