LOVERS -Girls Side-
「って…重ーーーーーーーい!!」
突然、聞こえた大きな声にビクッと体が反応する。
その主は…今の今まで、翔ちゃんの腕に押しつぶされていた―――。
「人の頭の上に圧し掛かっておいて、平然と景子をデートに誘ってんじゃない!!」
「あっれー? ひとみ、いつからそこにいんだよ。どおりでいい具合のひざ掛けがあると思ったぜ」
「最初から、ここにいましたけど? あんたが私を押しつぶして、のっかってきたんじゃない!!」
「あー、わりぃわりぃ」
「あーわりぃ―――っじゃないっつーの」
ボコッ!
っと翔ちゃんのお腹にひとみちゃんの肘が、思いっきりめり込んで…。
「…っ!! ん―――っのヤロー!!」
「あんたが、先にやってきたんだから、お返し~」
「つか、不意打ちで肘鉄くらわすことねーだろうが」
「はぁー? っていうか、昨日の3発見逃してやったんだから、これぐらいでガタガタ言わないで」
「見逃してやった―――っだ!?」
「こっちはいっつもいーーーーっつも我慢して見逃してたっての。これで済むんだから有り難いと思いなさいよね」
「んだと!?」
「何よ!?」
あー…やっぱりこうなってしまうんだね…。
翔ちゃんとひとみちゃん…幼馴染なのに…どうして仲良く出来ないのかなぁ。
でも、喧嘩するほど仲が良いって言うけれど―――。
教室中の皆も注目してしまうぐらいの大きな声。
何だか、この場所にいるのがとても恥ずかしくなってしまう。
「ひっひとみちゃん…翔ちゃん…皆が見てるか―――」
「うっるさーーーい!!」
バーーーーーーーーンッ
今にもお互いに手が出てしまうそうな雰囲気の中へ、私が割って入っていこうとした時だった。
私の言葉に被さってきた大きな声と、大きな音に辺りが一瞬にして静まり返る。
その方をそっと振り向くと、そこには―――。