LOVERS -Girls Side-
「ひとみさぁ、1つでも女らしいとこねーと、一生彼氏も結婚も出来ねーぜ」
「はぁ!?」
「水の分量間違えて、具材が生煮えじゃあなぁ~」
「なっ!!」
ひとみちゃんの顔が一気に赤くなり、椅子から勢いよく立ち上がった。
「カレーだぜ? 俺でも作れるっつーの」
「あんた…。人の話、盗み聞きしてんじゃなーい!!」
ひとみちゃんが翔ちゃんの胸倉を勢いよく掴む。
けれど、翔ちゃんは平然とした顔つき。
「んだよ! お前、昔から成長してねーな?」
「あんたにだけは…言われたくない」
え…何…。
この展開…また始まっちゃう…。
ついさっき、景子ちゃんに叱られたばかりなのに…?
私が不安げに見つめる中、私の背後からひそひそと聞こえてくる声。
"え? また…?"
"本当に飽きないよね~、あの2人"
"似たもの同士~、似た者夫婦"
なんて、クスクス笑う声が耳に届くと同時に、チャイムが鳴り響く。
もうすぐ、授業始まっちゃう…。
2人をこのままにして席に戻る…? でも…でも…。
どうしようかと迷っていたら、景子ちゃんがほっときなさい―――っと口元を動かしたのを読み取り、景子ちゃんは顔の前で手の平をヒラヒラと数回振った。
ほっほっとくの…? え…え…?
だって…このままにしたら…。
色々、頭の中で考えたあげく―――このままにしておけないと、意を決して息を吸い込み―――。
「翔ちゃん! ひ…ひとみちゃん!!」