LOVERS -Girls Side-


 自分でも驚くほどの声を出してしまった。
そしたら、2人のじゃれ合いがぴたりと止まる。
すると、2人が驚きの目で私の方を見てきて―――。
きっと、クラス全体が私を見ているんじゃないかって、思ったら、その瞬間―――火が着いたように、体も顔も一気に熱くなって―――。

 うぅ~…はっ………恥ずか……しい………。

 赤くなってるだろう顔を、手の平で覆い隠した。

「春香! ごめん、ごめん。うるさかったよね?」

 指の隙間からチラッと覗き見ると、両手を合わせて謝るひとみちゃんが見えた。
すると、その横から。

「春香っち! 意外と大声出せ―――ぐぇっ!」

 唐突に聞こえた苦しそうな翔ちゃんの声に、顔から手の平をどけた。
そしたら、またひとみちゃんの肘が翔ちゃんのお腹にめり込んでて―――。

「てっめー…な…にすんだ…よ。さっきのより…ヒットさせやがって…」

「黙れ」

「しょ…翔ちゃん…大丈夫?」

「う…大丈夫、大丈夫。春香っち、ごめんな? うるさくしちゃって」

 相当強かったのか、額に汗を浮べて苦笑しながらもそう答えてくれる翔ちゃん。

「もうチャイムが鳴ったよ…まだ先生来てないけど…席、座った方がいい…と思う…んだ」

「あっホントだ。時間、過ぎてる」

 そう言って、ひとみちゃんは自分の席にそそくさと戻て行く。
 あ~…だりぃし腹いてぇ―――、そう言いながら席に戻ろうとする翔ちゃんの背中に、急ぎ声を掛けた。

「あのっ翔ちゃん…」


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