LOVERS -Girls Side-
「もうここまで探してくれただけで…十分だよ」
「十分って…諦めるの? 一生懸命、作ってるものじゃない」
景子ちゃんの表情が少し険しくなり、その言葉にキュッと両手を結ぶ。
「まだ…時間はあるから、作り直す。諦めるんじゃ…なくて、前のよりも、もっと素敵に作る…だから」
2人に向かって笑みを浮かべて見せたら、景子ちゃんが真剣な眼差しで口を開く。
「本当に、それでいいの?」
「…うん」
2人をまっすぐに見つめて言うと、2人はお互いに目を合わせて微笑を浮かべながら小さくため息をつく。
「春香がそう言うなら」
「まっ春香なら、きっと諦めずにやり遂げるでしょ」
景子ちゃんに続きひとみちゃんが言って、両方の腕を上げて背筋を伸ばした。
「ところで、景子」
「ん? 何よ」
「じ・か・ん、平気?」
ひとみちゃんが時計を示すと、景子ちゃんは声を大きく上げ、帰り支度を素早く済ませ、駆け足で教室の入り口に向かう。
「じゃあ、また明日!」
「気をつけて~」
「景子ちゃんっ本当にありがとう!! 勉強、頑張ってね」
ひらひら手を振り見送るひとみちゃんの背後から、景子ちゃんにお礼を口にすると、手を振って笑顔で応えてくれた。
そして、景子ちゃんは廊下を駆け抜けて行った―――。
「さぁてと、うちらも帰ろっか。お腹空いたから、どっか寄ってこうよ」
ひとみちゃんも帰り支度をしながら、私に声を掛けてきた。
「ひとみちゃん、ごめん…ね。今日もちょっとだけ…ピアノ弾きたいんだ」
「え!? 今から?」
「う…ん」
視線を下に向け指を弄らせていたら、どたどた―――と廊下から賑やかな足音が。
そして、気づいて間もなく、扉が勢いよく開かれた。