LOVERS -Girls Side-


「やっべ…みんな既にいねー」

 現れたのは―――苦しそうに肩を使って呼吸を繰り返す翔ちゃん。

 そういえば…今日いなかった…?

「あんた、何しに来たわけ? 今頃」

「はぁっはぁっ、あ!?」

「今、何時だと思ってんのさ。とっくに授業終わってるに決まってんじゃん」

 へなへなと、その場に座り込んでしまう翔ちゃん。

「しょっ翔ちゃん…大丈夫? すごい…汗」

 慌てて翔ちゃんの元へと駆け寄り、私の後ろからひとみちゃんも歩み寄って来た。

「春香っち…俺まじ…ダメ」

「体調…悪い? 保健の…先生…呼んでこようか…」

「あぁ~春香、大丈夫。そんな心配はこやつには必要ないない」

「え? でも…」

 ひとみちゃんは呆れた様子で、翔ちゃんを見下ろす。
そして、腰に手を当てて口を開く。

「春香の心配を無駄にして、あんたは。っで、また寝坊でもしたんでしょ? っていうか寝坊の領域を超えてっけど」

「あぁ? いや…気づいたら…お昼過ぎててよ…」

「それで?」

 少し落ち着いた翔ちゃんは胡坐をかき、うな垂れながらひとみちゃんの質問に答えていく。

「んでっ…まぁ、もうちびっと二度寝しちまおうってことで…」

「こんな時間になっていたと?」

「………」

「馬鹿じゃん」

 ひとみちゃんの一言に頭を両手でガシガシと掻き始め、あぁー!! っと大声を上げる翔ちゃん。
その姿を私達2人は、肩を呼吸と一緒に落として苦笑を漏らした。

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