LOVERS -Girls Side-
鞄に必要なものを詰め込み、椅子と机を整えて鞄を持ち扉の方へと向かう。
すると、背後から男の前ではころりと変える声が飛んでくる―――。
「中谷景子さ~ん。今まで、あなたの話してたんだよ? 気にならない?」
背後でけらけらと笑う声が無性に腹が立つ。
首を少し捻り、視線を向けて返す。
「全然。どうせくっだらない私の悪口でしょ」
「はぁ? あなたのそ~いうさぁ、人を見下した言い方が人の気分を害してることに気づけよ」
「私も言わせてもらえば。あなた達のそういう下品な物言いや、そうしただらしない姿は見るに耐えないわ。同じ女としてとても恥ずかしい」
言い放った言葉に、一斉に立ち上がった周りを黒く縁取った目で睨みつけてくる連中。
こうすれば、誰でもこの人達に謝り、黙るとでも思っているのか。
「そんな顔したって、私は怖くないし何をされても言われても傷つかない。何か文句があるなら、そんな影でこそこそ言わないで、直接言ったら?」
「あ? んだと」
「私は逃げないから、いつでも気に入らないことがあれば言ってくれて構わない」
1人が今にも掴みかかってきそうな雰囲気を出し、それを1人の手が静止させる。
「それじゃ、私にはあなた達とこうしてじゃれあってる暇はないから」
睨みをより利かせる彼女たちを無視して、教室を出ようとした時―――。
「何をされても…ね。今の言葉忘れるなよ」
この中でのリーダー格なんだろう1人が低く呟いた言葉を右から左に聞き流し、何事もなかったようにその場を後にする。
「めんどくさい」
イライラする気持ちを抑えるように、そう言い捨てて―――。