LOVERS -Girls Side-
でも、奴は翔平の言葉に一切答えない。
うわっ目つき悪っ!! 寝起き悪いなぁ、この人。
首筋を片手で押さえながら首を左右に数回倒し、ポケットに片手を突っ込みながら、教室から出て行ってしまった。
そうして、無視された当人はというと―――?
「やっぱ、学さんはかっこいいなぁ」
満面の笑みで、奴に向かって手を振り見送った。
あんたはバカか…。 あんな奴の何処に憧れを抱いてんだか…理解出来ない。
毎日毎日、話し掛けても無視されてさ、本当懲りない奴。
「翔ちゃん。いいなぁ…」
机に頬杖付いて呆れ顔で、終始その様子を見ていた時、小さな可愛い声が微かに届いて振り返る。
振り向いた先に、翔平達の方を優しい眼差しで見つめている春香がいた。
「何? 今、何か言った? 春香」
「え!? へ…え…ううん…何も…」
よく聞こえなかった事に首を傾げ問うと、春香は頬を赤く染めながら動揺する姿は何とも可愛らしい。
「春香、か・お、赤くなってるよ~」
「えっえっえっ…本当に?」
「今さ、な~んて言ったのさ~。おっしえてっよ~」
からかい交じりに口端をニーッと上げて、春香の頬を人差し指でつつく。