神様ごっこ
彼女は一拍置いたあと、かすれるような小さな声でぽつりと言った。
「病気が、治らなくて」
「余命が短いの?」
「違うけど・・・」
歯切れの悪い答え方だ。僕は問い詰めるような口調で続けた。
「重い病気?」
少し悩んだあと、首を横に振る。
要領をえない僕に言い訳するように、彼女は少しずつ話し始めた。
「小さい頃から、肺の、病気で、薬を飲まないと、死ぬほどつらくて、それで・・・」
人と喋り慣れていない、少し無器用な感じのする喋り方だった。
それでも心に直接語りかけるような不思議な声が印象に残った。
「治らないの?」
「手術すれば、たぶん、治るって、言われた・・・でも、うちには、お金がないから、手術は、できないって・・」
そこまで話して俯く。
僕は彼女の話を聞いて、奇妙な違和感を感じていた。
幼い頃から付き合ってきた病気に、今更絶望するだろうか?
自殺をする動機にはならない気がした。
彼女が自殺する理由は他にあったのでは?