闇の中で踊る紳士は猫






今日もベランダへ




寒いけど




外だけど外じゃないから



安心できる
















目の前には猫




が一匹





躊躇したのはその頭にシルクハットがあったから




勝手に想像していたものよりは小さい


子供用だろうか



手品師から盗んできたのだろうか


奇妙




「こんばんは。」




驚いたせいで物音をたてそうになる



すんでのところでぶつからずに済んだ



「夜中に物音をたてたら迷惑ですからね。」





違うよ



私が


物音をたてると迷惑だからだよ






「夜分に失礼しました。ここは近道になるので通らせていただいたのです。それではおやすみなさい。」





痛みは一時止まっていた








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