オタカノっ!
付き合うきっかけ。
「ねぇ、辻山」
「あ?」
「凉宮ハ●ヒみたいに世界を想像して作れたらいいよね」
「すまんが話が読めねぇ」
人間は、時として分からなくなることがある。
そんなことをいつかどこかで誰からか聞いた記憶がある。
俺は、この暑苦しい夏の日に、少し記憶を遡らせていた。
そう、彼女との記憶を。
彼女は、クラスでも有名なオタク女子だった。
だが、オタクだからといって、みんなから嫌煙されているわけでもなく、男女関係なく仲がいい。
そんな彼女に引かれていった自分。
オタクというほど漫画やアニメの話をしない彼女。
正直、彼女をオタクと半信半疑だった俺。
そんなとき告白をして、見事に付き合えることになった。
「あたしオタクだけどいいの?」
「あぁ、もちろん」
「じゃあよろしく、辻山」
「こちらこそ」
付き合う時にした話はこれだけ。
彼女の名前は咲樹だ。
これから、いろいろと楽しいことが待ってる!
そう、胸をときめかせていた。
俺は、このときの自分に時を遡って会いに行きたい。
そして忠告しに行きたい。
お前はオタクをなめている、と。