素直な君が好き。
「智子ー、帰ろうよ。」

少しほろ酔いで頬が赤くなっている愛子の姿は、少し可愛らしかった。

「愛子、途中でどこに行ってたの?」
「あー・・・なんか声かけられてずっと話してた。」
「女の子?」
「ううん。男の子。」
「愛子が男の子と話したの!?」

私は少しびっくりした。
愛子が同い年の男の子と話してるなんて想像できないからだ。
少し貴重な場面だったかもなぁ。

「どうだった?」
「どうだった?って、智子。私はただ会話してただけだから、なんも思ってないよ。」
「そっかぁ。でも、話して面白いとか思わなかったの?」
「面白いとは思ったりはしたー。同い年の子でもこんな子いるんだぁって思ったし。」
「へぇー、あの愛子がそう思ったんだ。その子の名前は?」
「えっとねぇ、隆君。経済学部情報学科の近藤 隆君だよ。」

愛子は携帯の画面を見せて私に言ってきた。
愛子の携帯の画面には「近藤 隆」君の番号とメアドが表示されていた。
私は酔った勢いもあったけど、

「隆君のこと好き?」

って聞いてみた。
愛子からの答えは

「そんなことあるわけなでしょ、同い年の男の子なのに。」

と、わかっていた返事がかえってきた。
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