ポターナイト
ビルがない。
明かりがない。
煙が、火が、立ち上ぼる。
地面がひび割れてる。
窓には血がこびりついている。
私は重たい腰を落とした。
「地震……。」
男の子はそっと呟く様に私の耳に言った。
「地震……?
嘘だよ………。」
私は力なく言った。
―夢だ。
これは悪い夢。
きっと、電車の中で私は眠ってしまって、
それで、駅を通り越した。
気付かないまま私は寝てる。
そうだと思った。
だから、
私は精一杯の力で自分で自分を叩いた。
頭がおかしいんじゃないか?何て思えるほど。
「大丈夫…。」
そう聞こえた気がした。
ううん、言った。
誰かが、この絶望の景色に1人迷子の様に泣き叫ぶ私を見つけてくれた。
顔を上げる。
「大丈夫だよ。
俺がいる。」
優しく微笑む顔は奥に悲しみを秘めている。