ポターナイト

「うっ……!!!」
死体の山の中を歩く。
鉄の臭いと、
一面の真っ赤な世界。
何度も何度も襲い来る吐き気とめまい。

「大丈夫?」
ニコが顔を覗かせる。
頷こうとした途端、
ついに体が耐え兼ねて前に倒れた。

「サキ……?」
ニコは驚いた様な顔をした。
「大丈夫……。」
私はそう言うと笑いかけた。
ニコは無表情のまま、私に手を伸ばした。
「………ん」
「??」
私がモタモタしていると、伸ばした手で私の腕を掴んだ。
「よいしょっ」と言う掛け声とともに体が持ち上がった。
「ひゃあっ!!!」
私は驚いて変な声が出た。
スッと床に足がつく。
「―――クスッ
 見た目より重い…ね」
「えっ!?」
「嘘、嘘……クスッ」
私は顔が熱くなった。
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