君は愛されているんだよ
「俺,生き返ったんじゃ無いよ。
愛果ちゃんと祐里ちゃんが,俺を生き返らせてくれたんだ」―――。

余りにも大袈裟な台詞。
そんな台詞を言われると,私達は一寸恥ずかしい気持ちになっちゃうよ......。
愛果は恥ずかしくて何も言えなかった。
其の時―――。

「秀樹君,あんたを生き返らせたんは,私ら違うて“神様”やでぇ!!!!!!!!」―――。祐里は“神様”について話し始めた。
私は「神様なんて本当にいるのかしら?」と思っているのだけど,祐里はどうやら“神様の存在”を強く信じている見たいだね。話し掛ける暇も無く,祐里は“神様”についてどんどん話し始めた。

「バカバカしい。」と思った愛果だけど,彼女の話を聞いているうちに「やっぱし“神様”って本当にいるんかも知れないなぁ。」って思って来たんだ。
それどころか,祐里のスピーチは,秀樹の家族も真剣に聞いている。

彼女のスピーチで最も印象に残った部分は,タンザニアでの出来事についての話だった。それは,タンザニアで,死んだ筈の赤ちゃんを生き返らせたと言われていた人物が,大衆の前で「赤ちゃんは私が生き返らせたのでは無く,神様が生き返らせたのです!!!!!!!」と話したという事―――。
どうやら,祐里は,父親の友人が仕事の関係でタンザニアに行って,其処で聞いた話を聞いて,“神様の存在”を認める様になったみたいなの。

彼女のスピーチは何時間も続いて,何時の間にか真っ暗になっていた。
私の携帯が鳴り,両親から連絡が入った。「愛果,何で夜になっても帰って来ないの?」「お母さん,今,秀樹君のお見舞いから帰る所だから,待ってて!」。

本当は,祐里の話をもっと聞きたかったけれど,両親も心配しているから「親が心配しているから,今日は帰るね。」と祐里と秀樹に伝えて帰る事にした。
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