君は愛されているんだよ
帰宅後―――。

両親は私の事をとても心配そうに見ていた。そうだよね。夜遅くに帰宅して心配しない親なんていないもんね。だけど,私は秀樹が自殺未遂をした事,祐里と一緒に秀樹が生き返る様祈ってた事を話した。
もう,怒られる覚悟で事情を話したんだけど,母は,怒るどころか信じられないという感じで愛果を見詰めたの。

「愛果,あんたは何て思いやりのある子なの!!!!!!」――――。

母の目から,大粒の涙がこぼれた。父は,「やるじゃないか」という様な態度で黙って聞いていた。夜遅いから,妹は寝ちゃったけど,「今日の事は,妹にも話したいなぁ。」と思った。

さすがに,祐里の話していた,タンザニアでの奇跡については全然話せなかったけど,入浴中に祐里の話を思い出し“神様の存在”を信じる様になった。

翌朝,お弁当を作って登校する。
何時も通りの事だけれど,祐里に,もっと神様の話が聞きたくなって来て,学校に着いてから,祐里が来るのをただひたすら待っていた。

HR寸前になって,祐里がやって来た―――。
「愛果ちゃ~~~~んっ,遅れてごめんなぁ......。」
「もう,ずっと待ってたんだからね!!!!」
祐里はHR寸前に登校する事が多い。時々,その事で苛立つ時もあるけれど,祐里には何度も助けられたから,本当に憎めない存在だ。

HRが終わり,1時限目は生徒会の立候補についての話し合いになった。
「今日は,生徒会の立候補者について話し合う」
担任の三野先生だ。三野先生は,専門は理科の先生だけど,スポーツが大好きで,体育祭の時は,一人だけ盛り上がっていた,問題教師だ。
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