ネバーランドへの片道切符
そうして、彼の誕生日がやって来たんだけど。


その日は、友達と遊ぶからと、勉強は見れないと言われた。


彼にも、彼の付き合いがある。
こういう日もたまにあるんだ。


だけど、今日彼に直接、会って渡したいから。


寝てしまって明かりが、ついていない彼の家の前で、しゃがんで待っていた。


夜風が私の身体を通り抜けると、少しだけ寒さを感じた。


夜も半袖じゃ、そろそろ過ごしにくい季節になってきたかな。


冬だったら、凍傷してたね。その前に半袖で待つワケないが。


――思えば、今日中に帰ってくる保証ないよね。


私、今健気とか思ったり?


ふふ、可笑しくて笑える。


でも、待ってるの苦じゃないよ。
基本、人を待つのはイヤと思わない。


何も考えないゆったりとした時間が好きだったりする。


ぼーっとする時間。
本格的に志望校を狙い始めてから、無くなったかも知れない。


前は平気で、電車の中でぼーっとしてたら、降りる駅余裕で通り過ぎて学校を遅刻することあったもんね。


授業中もぼーっとして話を聴かなくて何度も怒られて……


遅刻と欠席が多いから、推薦認められなくて……


もう終わってしまったことだからね。
悔やんでもしょうがないかな。
一般で受かればいいし。
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