ネバーランドへの片道切符
「どうしたの。なんで深夜に、玄関前にいるんだ」


ぼーっとしていると、耳に馴染んだ声がする。


顔を上げると、電灯の光が助けて彼の驚いた表情が私の瞳に入った。


「おかえり。帰り待ってたの」


一度折りたたみ式の携帯を軽く開けてすぐに閉じる。


サブディスプレイが光りに現在の時刻――02:23と表示する。


もう誕生日の時間過ぎたこと全く気づかなかった。


ちょっと残念。
誕生日に渡してあげたかったな。


「なにかあった。緊急なら連絡くれれば」


顔の変化は余り見受けられない。
でも瞳は、心配している。やっぱり優しい彼。


「なにもない。緊急でもない」

「そっか……ここでどのぐらい待った?」


一瞬ホッとした表情だけど、すぐ、怒っている表情を見る。


声色が変わらないのがコワさを引きたたせる。


「15分ぐらいかな」

「嘘はいいよ」

「なんで、嘘じゃないよ」


私の言うコトをすぐに嘘と決めつける彼ではないのに……


それに、ただプレゼント渡したいだけなのに、ギスギスした空気はなに?
< 17 / 28 >

この作品をシェア

pagetop