ネバーランドへの片道切符
「なんで玄関で待ってた。なんで、おかえりって言ったの?
僕がまだ帰って来ないと確信してたからだろ?」


顔を俯むかせた。彼の推理は正しい。


まだ彼の家から灯りがこぼれている時間に彼が帰って来ているか、確認した。


いなかったから、そこから彼を待ちはじめたんだ。


「なにか用があったんだろうけど。
こんな夜遅くに一人女の子が外にいたら危ないよ。
なにかあってからじゃ大変だ」


あ、怒っていたのは、私の身を案じてくれたからなんだ。


不意をつかれた。
ごめんね。でも、すごく嬉しいよ!


「だいたいこんな時間に家から出てきて、15分待ってて来たなんて信じられないよ。
ごめんな。こんな遅くまで待たせて……慣れているかも知れない……だけど、もうこんなコトしないで」


顔を上げると、真剣な眼差しで、お願いをしている。


慣れてるって、私そんな遊んでいる女じゃないよ。


やっぱ、誰とでも寝るって嘘をついたから――


だけど、彼に心配してもらえるだけで、こんな嬉しいものなんだね。


もっと心配して欲しいケド……ちょっと心が痛いから、もうしない……たぶん。


「……うん……でも、どうしても渡したいものがあって」


この日のために買ったものを、スウェットのポケットから取り出した。
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