ネバーランドへの片道切符
手に握ってあるのは、水色の包装紙に包まれている長方形型の箱。


「一日遅れだけど……オメデトウ」


彼に渡すと、瞬きの数が尋常じゃない程パチパチさせて、「信じらんない」って表情をしてる。


「そんなに意外? 私がプレゼントあげるの」

「今までなにもなかったから。
それにもう、この歳だし?」


そうだね。恋人じゃない人からプレゼントを貰える歳じゃない。


小さい頃は、あんな盛大に誕生日を祝ったのに大人に近づくと普通の日と変わらなくなるものなんだ。


まぁー今回の誕生日は、公に、酒と煙草が認められってことぐらい救いなのかな。


「特別な意味であげたんじゃないよ。
ただ、勉強教わっているお礼だから……うわぁ」


突然、抱きしめられた。
いつもの日じゃないと抱きしめないのに……
私は今、彼の暖かい身体に包まれている。


――力強い、身体も、心も、キリキリ締め付けられる。


「い、たい」


力強い抱きしめられたら、もたない。


私を離さず、力を緩めてほしい。
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