ネバーランドへの片道切符
左手に持っていた携帯を、離して、さっきまで弄っていた下を、私に隠すように、急いで、履いている。


「隠さなくていいのに、途中でしょ」

「そんな問題じゃないだろっ!!」


そうだね。
そんな気分にもなれないよね。


そんな、うっすら涙をためて、いつも頼りになる男らしい冷静無口な彼が、見せる初めての姿。


――ゾクゾクする。


左手に持っていた袋を立ったまま落とす。


スナック菓子は粉々に割れているかもしれない。


今は、そんなのどうでもいいけど。


ベッドの上、彼の隣に座る。
落ちていた携帯の画面を見ると、なにもポーズも決めていない、ただ普通の姉の横顔。


日常生活の1コマみたいに自然な写メ。
絶対に、これ、盗み撮りだ。


「私じゃなくて、マユが見てたら、幼なじみ関係終わってたね」


別に皮肉なんていいたくないけど、ついつい、自然と出てしまう。


こんな性格の自分に腹が立つ。


「お願いだ。誰にも言わないで、マユには絶対に」

「言わない。土下座なんてしないで」


ベッドの降りて、床に手をつき、
私に、半裸のまま土下座する姿。


みっともない。
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