ネバーランドへの片道切符
「ねぇ、私の見た目はねーちゃんにまあまあ似てるでしょ」

「見た目は……な」


同じだと思えれば、それで十分。


「じゃあ、私をマユだと思って抱いてよ」


艶っぽい声を自分の中で出したつもりだ。


「なに言ってんだよ!!」


ベッド上の彼との距離を縮めていく。
案の定、彼は驚きながらも赤くなってる。

「マユの代わりになってあげるって言ってんの。
私も受験勉強ばかりで、ストレス溜まってるしさ」

「こーゆうの慣れてんの」


喋れば、互いの息がかかる距離。


「慣れてんの」の意味は「誰にでも簡単に身体を許しているの?」の意味あい。

「慣れてるよ」


――嘘。


好きだって言われた男と付き合って、経験はしたけど、行為だけの関係は持ったことも、持とうとも思わない。


だいたい私は、恋愛も、行為も、淡泊らしく、そのお陰で、カレシが出来ても長続きしない。


なんとなく好みだからで、付き合っちゃうから、そうなっちゃうんだろうな。


付き合って最後までしたのは、二人ぐらいだから、人並みぐらいかな。


人並みが分からないけど……


だから行為事態にも慣れているってわけでもないの。
< 6 / 28 >

この作品をシェア

pagetop