ネバーランドへの片道切符
興奮して、唾を飲み、喉仏が上下している。


「その……「こういうの初めてなんでしょ」


早く別れた彼女、それから、彼には女っ気がないからすぐに予想は出来た。


別に罰が悪そうな顔頷かなくていいのに……今日は、私に意外な表情ばかりする。


彼に、かわいいって言葉は、似合わないケド、今日はそれがシックリくる。


「じゃ、なおさらだ。
練習だよ……いつか、本物を気持ちよくするための」


ははは、んなの叶うワケないケド。
だって、マユにとって彼は弟分みたいなもので、男としては考えられないって友達が遊びに来たとき毎回言い続けてきたから――


ずっと想って貰っても、姉はその想いに応えるつもりはない。


だったら、ずっと想い続けている私が、姉の代わりになって貰っていいでしょ?


「脱がせてよ。あたし、我慢出来ない」


少し高めにと声を意識すれば姉と似た声。それに甘ったるさをつければ――


彼は、私を強く抱きしめて、そのままベッドに押し倒す。


表情はあまり変わらない彼が、今、愛しそうに優しく微笑む。


その微笑みの中に、暴れる欲望も隠れている。
目が食い尽くしたいと強く訴える。
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