どこかで誰かが…
片桐が飲み物を運んで来たとき、トイレを指差した高梨の目の先に、実はゆっこが居た。


そして、高梨のアイコンタクトで、その店員が佳菜子にキスをした男だと気付いたゆっこは、
厨房の入り口付近で待ち伏せていたのだ。


「彼に何を言ったの?」

「前に佳菜子から聞いてた話と、さっき聞いた話が上手く繋がってね。」

「なに?」

「お節介な未央里ちゃんも、前にあの男を狙ってたの!その時は好青年を当て馬にしてね…だから、また何か企んでるみたいだって言ってやったら、どーしよ、上手くいっちゃったみたいだよ!」

「イエーイ!とりあえず乾杯!」


この作戦の行く末が、自分のためでもあるとは、さすがに言えないゆっこだった。


一方、外へと連れ出された佳菜子はというと…


「ちょっと!なんですか!?」


ゆっこがしでかしたことなど、何も知らなかったため、店から追い出されたと思っていた。


「あのさぁ!」

「そんな乱暴にしなくても、言ってくれれば出て行きますよ!」

「あ、ごめん。」

「…突然来たりして、すみませんでした。連絡取れなくなってしまったので…」

「そうなんだよ!秋山のヤツ、とっとと削除しやがってよ〜、女とヨリ戻したら腑抜けになって…」

「あぁ…未央里ちゃんに聞いて、私も削除しましたから。」

「でも、そのあとで彼女が来た時、俺、言っておいたんだよ。いつでも店に来るようにって。」

「あー、それは」

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